ミミック

ハン・ゴンジュ 17歳の涙のミミックのネタバレレビュー・内容・結末

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

・見たあと基になった2004年の事件を確認してもう一回見た、事実はもっと酷かった
・加害者のなかに権力者の息子がいるため全員不起訴、学校側は問題があるからと被害者の受け入れを拒否、加害者の親が被害者本人に詰め寄って同意書にサインを求める…とことん冷酷な二次被害を受け続ける性被害者ハン・ゴンジュ、弱者が泣き寝入りするしかない韓国の社会構造がこの映画で浮き彫りになる
・胸糞具合で『トガニ~幼き瞳の告発~』と並べられるのも納得だし、マイナスイメージを持たれてもこうした映画が作られる韓国映画界の気概は充分感じた
・『サニー』で印象的ないじめっ子を演じたチョン・ウヒが、レイプ被害にあった主人公ハン・ゴンジュを繊細に演じてる
・とはいっても極力直接的なシーンは少なくするなど見せ方には気を使ってて、その代わり冒頭から扇風機やホチキス、携帯で撮影など事件に関するアイテムを散りばめて印象づけしてる
・事件の前後をクロスオーバーさせてるが、中盤で突如挿し込まれるレイプシーンの唐突さはまるで被害者が味わう理不尽な苦しみを疑似体験させるよう
・母は新たな男をつくってプチ整形、父は示談金目当てで無断で署名させるクズっぷりに辟易する中、居候先の教師の母親だけ良い意味で人間臭い
・見終わってから序盤のシーンの、家のトイレで主人公を足元から見上げる友人の画がずっと頭から離れない
・ハンの「歌なら想いを全部ぶちまけられるのに」と、「金とコネ、権力がすべてだ」と吐き捨てた父の台詞が印象的
・加害者が「他の子に強要された」で言い逃れするのにはヘドが出るし、何が"フリークファッカー様"だぁ?糞だせぇなマジで!!
・転校先の女生徒らが、主人公のトラウマを呼び起こすだけの装置に成っていたのは少し気になった
・終盤になるにつれ逃げ場がなく追い詰められるハンを見るのは精神的にも辛いが、彼女が転校初日にイルカの置物を見たように事件から執拗に泳ぎをマスターしようとしていたのは、生きる事を強く渇望したからに他ならない。だから一連の水泳のシーンには強い希望を感じる
・映画としては実際の事象を織り込むことに集中しすぎて、人物たちの気持ちの流れが分かりづらかったのでこのスコア
・日本でも、つい最近起きた加害者を不起訴にして暴行を受けた被害者に謝罪させた、新潟のアイドルの事件を映画化するくらいの自浄作用が欲しい
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