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COMET コメットのamokのレビュー・感想・評価

COMET コメット(2014年製作の映画)
5.0
『アメリ』や『ムード・インディゴ』が好きな人にオススメです。

上記2作品のように、リアルの世界にファンタジーの要素を盛り込み、かわいくてオシャレで不思議な世界観を創り出しています。

ある一組の男女の始まりから終わりまでを、時間をランダムに切り取り繋ぎ合わせた斬新な構成。
オープニングでそのことを説明してくれる親切設計。
それでも前半は、映画の構造がみえず戸惑いました。

映画の肝は、やはり“つかみ”だと思います。
下手をしたら最後まで観てもらえない可能性もあるわけですから。
この映画の“つかみ”は最高でした。
主人公の男、デル(ジャスティン・ロング)の不安が画面から溢れてきます。
完璧にデザインされた構図や映像効果で一気に引き込まれました。

その後も斬新な映像表現が続きます。
写真のような背景、版ずれのようで鮮やかな色彩、崩壊する世界、手の軌道に表れる彗星、縦横無尽に行き来する時間。
このように書くと非現実なファンタジーのように思いますが、これは完全にリアルの世界。
リアルな男女の行く末が描かれています。

「やっぱり、君とはいられない。」というキャッチコピーの通り、この男女は最終的にはうまくいきません。
そのことが解っているからどこか刹那的。
その刹那が作品をより美しくし感じさせてくれます。

最初からコツコツと積み重ねてきたファンンタジー要素。
それを最大限に利用し、それでもリアルに徹したラストシークエンスでは、思わず涙がこぼれました。

絵画は美しい瞬間を切り取った時間の無い芸術。
映画や音楽は始まりから終わりまでの流れを楽しむ時間のある芸術。
絵画はいつでも好きなときに楽しめて縛りが無い。
映画や音楽はその時間に縛られてしまう。
この映画は絵画のような芸術を目指しているのだと思います。
しかし、これは映画。
人生にもやはり時間がある。
絵画にはなり得なかったが、時間という縛りがあるからこそ、美しく輝くものもあるのではなかと思いました。


余談ですが、とっても印象的なキスシーンがあります。
あんな構図のキスシーンは初めて見ました。
とても感動的でした。大好きです。