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COMET コメットのseahawkのレビュー・感想・評価

COMET コメット(2014年製作の映画)
3.7
批判的なレビューの方が多いみたいだけれど、議論の余地がある、あーだこーだ語りたくなる作品という意味では、なかなか良いじゃない、とわたしは思う。

まず、やたらおサレな感じの映像と気取った会話劇は好み。
それから、5つのパラレルワールドで、時間軸バラバラに展開される1組の男女の恋愛模様を必死に追うのも、退屈しない。
500日のサマーとかエターナルサンシャインやブルーバレンタインなどが引き合いに出されているし、ふたりの5つの分かれ道など思い出したけれど、それらに及ばない出来だとしても、色々思い出しつつ理解してやろうとちょっと身構えて観ることも楽しかった。

難点は3つ(最初は褒めておいて結構ある)。

1つ。キャラクターに品がない。会話劇としては、名作と言えるリンクレイターのビフォア三部作だって上品な会話をしているわけじゃないけど、これじゃあ主役を好きになれない。共感するセリフだってあるし、こういうこという人いるよな的なリアリティはあるけれど、汚い単語やアホ発言が多すぎでは…。男性目線で見ても女性目線て見ても惚れられない2人が幸せになれるか、興味がなくなってしまい。ほんと、映像と6年間のやりとりだけ楽しんだので、結末はどうでも良いです。

2つ。別の時間軸の場面であることを分かりやすくするための衣装やヘアメイクがわざとらしすぎる。せっかく映像がお洒落なのに、ちょっとダサい。

3つ。何よりもキャスティング。
主演の2人とも、好きでも嫌いでもなかった(あまり興味がなかった)のだけど、これが実力派な役者たちだったらこの映画の評価も上がっていたんじゃないかな。
ロングの方はまだ良い。ラブコメイメージが強いわりに顔が長いからカッコ良く思ったこともなかったけれど、「格下」ではなく見えた。もっと他の三枚目俳優であればテンションが上がったが、ロングの株は上がった。
問題はロッサム。オペラ座の怪人で初めて観た時は歌が上手くて感心したのに、声も好きじゃないし、演技も全然響かない。飾らないキャラ設定だからって、前述の通り品もないので綺麗に見えない。

ネタバレしないようにすると面白いレビューも書けないが、とにかくこの3つ目の欠点が致命的なので、オススメはできない。でも、観終わった後誰かとあれこれ話したくなったので、観る価値あったということではないかと思う。
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