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スーサイド・スクワッドのTEPPEIのレビュー・感想・評価

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)
1.3
アメリカでも日本でも見る機会がなかった本作、幸運にも飛行機内で鑑賞した。本作が批評家・観客から酷評されていたのは有名な話だが、本作もDCユニバース作品の質の低さを物語ってしまった。「バットマンvsスーパーマン」や本作も含め、リアル路線とダーク路線とコミック的表現がとても中途半端に合わさって実に気持ちが悪い。本作の場合は近年のアメコミ映画のなかでもかなり面白くない。極端に述べると、キャラクターの引き立てが酷すぎる、映像表現がデビッド・エアーのミリタリー描写とのミスマッチ、スーサイド・スクワッドの戦闘能力の低さ、全体的な流れが陳腐すぎる、最後に本作のジョーカーは史上最低の出来。ジャレット・レトを起用しつつも、ジョーカーの魅力は設定のせいで大幅ダウン。そもそも犯罪者のカリスマと同時にミステリアスでかつ、ハーレークインの恋心を理解しつつも興味を示さないのがジョーカー。本作は安いギャングのような全身タトゥーというアレンジのダサさが酷い。ひとつひとつの行動もハッキリ言えばお邪魔キャラであった。スーサイドに入隊していないジョーカーはミッションを妨害する困ったちゃんだった。ハーレーとの関係は実に興味深いところなのに、どうしてこうなったのか…。そしてアメコミファンとして見るのがデッドショットのウィル・スミスのミスキャストぶりである。デッドショットもカリスマ性のあるキャラクターにも関わらず、本作は銃を撃ちまくるだけのステレオタイプな人物になっている。全体的にハーレーのバットで戦う姿や、ブーメランの戦闘のわかりにくさなど含めおそらく米軍送った方が制圧できるくらいの質である。ヴィランもよりによって、魔女かよ…ってなりもうめちゃくちゃ。後半はいきなり仲間意識を語る寒い演出が続いて、実に退屈だった。
総評としてとても残念な出来だった。「ダークナイト」でアメコミに新しい可能性を示したDCコミックの映画化作品。やはりまだこの大風呂敷展開が早い気がした。少なくともマーベルのようにしっかりリライト含め、脚本家との連携が必要だった。いまのワーナーのDC映画に足りないものは、冷静さである。ダークナイトシリーズから新たなバットマンの登場と、ジャスティス・リーグの製作はまだ早かった気がしてしまう1本だった。
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