けんたろう

手のけんたろうのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
-
「手」によって指示されるおはなし。


これでもかと「手」による栄光の軌跡を見せられ、器など作らず上を見ろ・向上せよと言わんばかりの圧力をかけてくる「手」と、
それに必死に抵抗する芸術家が繰り広げるアニメーションはテンポよくて面白かった。


…しかし「社会の手」への抵抗に、芸術家が「自分の手」を使ってるのは皮肉なのだろうか。
結局自分だけじゃ何もできない、「手」に頼らなくちゃいけない時も残念ながらある、そういうことなのかな。


ラスト、「手」がとった行動…
かれらのような者は自らを正義とするために、いつも体裁を重んじる。その表れだったのかもしれない。

だけどおれには、宿敵を讃える熱い展開にも見えた。

芸術家が大事にしたものを守ったのは、いったいどっちの意味を持っていたのだろうか…今は亡きイジー・トルンカに尋ねることはできないし、おれにとっては後者が正しいてことにしとこう。