モスマンは実在する

可愛い悪魔のモスマンは実在するのレビュー・感想・評価

可愛い悪魔(1982年製作の映画)
4.6
転落死、走りながら焼死、パニックで回転しながら窒息死、などという凄まじいショック描写を詰め込みつつ、その死に様を魅力的にみせるための段階を高速で踏んでいく様が圧巻。全てが過剰で圧倒される。また、「殺すために工夫された仕掛け」が多く出てくるのも良い。主人公がアリスの家に招き入れられたくだりでは、きちんとアリスが後に使うであろう殺し道具をいくつも紹介し、不安要素ばかりをチラつかせる。もはや家自体が禍々しい「敵の本拠地」のようなものになっている。アリスの部屋に飾られる写真や、椅子に座らされている青ざめた人形など、イタリアンホラーなどにあるような不気味さがそのまま引用されている趣があり楽しい。

主人公の精神状態がまともではないようにも思え、何も信用できないなかで話が展開していくのも良いし、オチとしても主人公の問題にケリをつけているのが腑に落ちる。

1時間13分あたりから大林監督本人が出演してしまうのも非常に怖い。なぜ出演する必要があるのかわからないが出てきている。何、ヒッチコックなのか、この人。