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WEEKEND ウィークエンドのesのネタバレレビュー・内容・結末

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

金・土・日。週末。たった三日間の物語とは思えないゆっくりと流れる濃密な時間。

2011年に公開された他の作品と比べると5年以上先を歩んでいる印象を受ける。
異性愛の性描写は描かれる、戦争や殺人、人種差別についてはみんな興味を持つ。同性愛は誰も興味を持たないから匂わす程度の描写しかしない、作中でアート展の話として語られるものがそのまま当時の映画業界に反映できる。
もしも今描くとしたらカムアウトしない自由についても言及するかもしれないけれど、世間で意識の変化が急速に起きている分野の話なのに10年の時の流れをそこまで感じさせないのが凄い。
繊細な主人公に対して粗野で下品なヘテロ男性という強調が少し多いような気がしたけれど、主人公が周囲の反応を常に意識しているからこそネガティブな話題が強調されて入ってくるという主人公の生い立ちと性格を確立させる為の演出なのかもしれない。

人物描写と間の使い方が凄く上手くて、感情の積み重ねが伝わってきた。キャラクターの目線や表情、動作の一つ一つを丁寧に撮っているので、個性を誇張しなくても少しずつキャラクター像が埋まっていく。
家の内装や物への愛着、コーヒーの淹れ方、通話の切り方、お礼の言葉、数えたらキリがないくらい描写がとにかく細かく丁寧。上質な文学を読んでいる時と同様の楽しさを感じる。

一夜の関係から探り合うように縮まっていく2人の距離と同様に、突然画面の中に現れたキャラクター達について観客が少しずつ知っていくという形の追体験できるようになっているのが上手いと思った。
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