人が出会って交わって、反応し、影響を与え、お互いが自分でも気付かぬうちに、出会う前とは少し違う人間になっている。
突き詰めれば、全ての(まともな)映画はそれを描いてきたし、今まで何億回繰り返されたか分からないモチーフでもあるけれど、それでもこうして新鮮に感動出来てしまうのがフィクションの力なのだと思う。
他者の視線で自分の輪郭を確認する男と、他者の居ない場所で平穏を保とうとする男。どちらかが間違っているわけではないし、相手の影響で自分の中の何かが変わったとしても急に生き方を変えられるわけでもない。そういう人生のリアルさに寄り添う、正直で優しい映画です。
みんなこうやって生きている。