【伝説は1971年ニューヨークの深夜に産声をあげる】
公開初日にジョン・レノンやアンディー・ウォーホル、ミック・ジャガー、デニス・ホッパーなどが訪れ絶賛の嵐。瞬く間に口コミで広がり異例の大ヒット。
ジョン・レノンなんて映画の独占権まで買い取り上映したほどお気に入りの作品。
大手もそれにならい大体的に上映したが不評で3日で打ち切りという伝説まで持つ。
結局何が言いたいかというとこの作品は常人じゃ理解できない伝説の奇作であり珍作であり傑作というわけだ。
なのでカルトの代名詞と言ってもいいくらいカルト映画の中では有名でカルトなのかメジャーなのかよくわからん作品だ。
ホドロフスキー監督は商業映画を酷く嫌悪しており自分のは芸術映画だとはっきり明言している。
そこの君。これ絶賛したらちょっと常人じゃない雰囲気を醸し出すことができてお得だぞ!
だから普通の人はこれ見てさっぱり理解ができないってなっても全然問題ないし君は君の映画ライフを過ごしたらいいんじゃないかな?でも一度くらいはカルトに触れてみるのも一つの経験かも。
僕がこの作品に初めて出会ったのは美大時代で当然周りはサブカルアートまみれの大衆映画なんてもう飽きたよもっとオシャレでアート的で衝撃的なやつないの?ともう普通の生活が出来ない変人野郎ばかり。映画を年間500本くらい見る変態先輩に教えてもらった。夏の暑い日にクーラーもつけずに大学の下宿先で女なのに化粧けもなく汗ばむタンクトップ姿で団扇を仰ぐ先輩と二人でエル・トポを見たっけな。
砂漠を舞台にカラカラの世界でエログロでシュールに突き進むその変態西部劇はまるでその先輩を体現しているような世界観だった。
エル・トポとはモグラの意。
モグラは穴を掘って太陽を探し
時に地上へたどり着くが
太陽を見たとたん目は光を失う
なんとも哲学的なモノローグに人間の愚かさとエゴとエロスと宗教が交じり合って具現化したその映像は2度観てもやっぱりよくわからなくて衝撃さとは裏腹になぜ人は不可解なものに惹かれるだろうと冷静になりながらあの夏の先輩の唇がとても赤かったのを今も頭から離れない自分を呪った。
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