Kohtaro

エル・トポのKohtaroのネタバレレビュー・内容・結末

エル・トポ(1970年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

初めてホドロフスキー作品を見ました。かなり難解で最初は親和的になれなかったのですが、時間を経ると少しずつ自分の中で噛み砕けて好感度がかなり高まっています。とりあえずこれから先何回も見たい映画です。

映画の構成は創世記に始まり黙示録に終わるという聖書の構成をなぞったものです。聖書に旧約聖書と新約聖書があるように、この映画も2部構成。面白いのはその中で福音書にあたる章が存在しないことです。

でもよく考えると前半部でエルトポは死に、後半部で復活するという構成、エルトポの伝記という構成は福音書のようでもある。つまりこの映画は旧約と新約という聖書の全体的な流れと同時に福音書の流れもなじっていると考えられます。

でもだからといってエルトポ=キリストという単純な図式が成立するかと言えばそうではありません。前半部で砂漠を彷徨い歩き、岩を叩いて水を得るというのは出エジプト記におけるモーセの記述を意識したものであり、エルトポがモーセに重なる描写です。

これだけふんだんに聖書を扱い、その構成を難解に、複雑化させているのに表面的には西部劇のようでもある。エログロを含んだ圧倒的な映像美でこちらを殴って2時間を2時間以上に感じさせる。

この映画にしかない魅力というものが確実に存在する映画でした。

最初に埋めた母親の写真とぬいぐるみ、最後に出てくるエルトポの墓にある蜂の巣の意味が気になりすぎる。
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