安堵霊タラコフスキー

エル・トポの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

エル・トポ(1970年製作の映画)
4.6
パラジャーノフの火の馬と並んで、存在を知ったときに絶句するくらい衝撃を受けた映画。

この作品は二部構成の変態映画となっているのだけど特にやばいのが一部の方で、冒頭から裸の少年(自分の息子にこんな役やらせるなんて虐待では?)とか大量の死体とか出て来るイメージがどれも常軌を逸しているから(ロバなんで内臓出ちゃってたし)、この作品を見て即座に監督が異常者であることが誰でも理解できるだろう。

前半の軸となる達人との対決も、監督自身の演じる主役が卑劣で連れの女らも下衆だしで胸糞悪くなるばかりなのに、血生臭さや演出の奇抜さのおかげで芸術的にも思えるから正直痺れてしまう。

後半になったらフリークスが中心で銃撃戦も最後らへんにしか無いからパワーダウン著しいのだけど、それでも異常さは相変わらずだったしドン引きな展開も多かったからやはり変態という印象は拭えなかった。

それにしてもこんな頭の逝かれた映画が作られて指示されたっていうのも、60年代から70年代にかけて世界的に良くも悪くも異常だったからであろうが(特に70年はこれとかサテリコンとか恋する女たちとか視覚的にヤバい映画が多い)、こういう過激な作品に触れた後だと80年代以降の大半の映画が温く思えていけない。