高矢

ピエロがお前を嘲笑うの高矢のネタバレレビュー・内容・結末

ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ネット用語と日常用語を組み合わせるナレーションや台詞の面白さ。ハッカーが登場する作品は客が距離の遠さを感じて一歩引いたエンタメになりがちだけど(自分たちのわからないことをやってる人って認識になり感情移入のハードルが上がるからだろう)、サイバー空間がいかに自分たちに近いところにあるかを感じさせることで、主人公にぐっと寄り添わせる作品にできる

仮想現実で活躍する主人公は苦痛な現実で透明人間になりたいと願いそれを叶える。捜査官もそれを知り同情したからあえて最後は見逃す。「透明人間」ってワードは、匿名性の強いネットに生きる主人公らしい表現。
ハッキングという題材と、世界をわがものにしたいと高望みする小物の心境がうまくマッチしてる

ハッキングはトリック。人の心はセキュリティの最大の脆弱部分。大胆にいけば騙せる。
そういう題材の取り込み方も良い

何もない空っぽな人間がピエロの面をして仮想現実でもう1人の大きな存在としての自分を発見し精神的高潮に達する。ジョーカーと共通点はあるけど「仲間の存在により成長していく」点は大きく異なっている。

最後の2回のどんでん返しはやや無理がある(捜査官がマリ以外に聴取してたら作戦は失敗してたはず)けど、最終的に主人公たちは透明人間になれたわけで、終わり方はテーマには合ってる。
ハッキングを活かしたどんでん返しならさらによかったかもしれん

ドラッグや酒、セックス、ダンス。主人公たちの無鉄砲な生活を表すと同時に、漂うアングラ感が「現実ではないどこか」であるインターネットとの親和性が良いね。クラブミュージック的な音楽、激しいカットの展開もドラッグ感がある。
高矢

高矢