BGMなし、ナレーションなし、シーンの説明なし。全てが映し出されていて、まるでその場にいるかのような錯覚さえ感じる。
たかが照明ひとつでも絵の印象が大きく変わると念入りに調整するスタッフ、侃侃諤諤の予算配分会議、息が止まりそうなくらい緻密な修復現場、興味を惹く美術解説などなど、美術館の表舞台と裏舞台が交互に現れてシーン同士がゆるく繋がっていく。
フレデリック・ワイズマンならではの華美な装飾を一切削ぎ落とした、人と場所にスポットを当てたドキュメンタリー映像。美術館の存在意義についてより深く考えられること請け合いの作品になっている。