ビール隊長

みんなの学校のビール隊長のレビュー・感想・評価

みんなの学校(2014年製作の映画)
4.1
大阪にある普通の公立小学校、大阪市立大空小学校。
そこで繰り広げられる日々の暮らし。教師と子供が四苦八苦しながらなんとか言葉を交わし、心を通わせ、理解しあっていくお話。
淡々と繰り広げられる日常と、起伏激しく感情波立つ児童の心情。

前の学校では校内で二時間ほど過ごすのが限界で、転校直後も「大空を引退します!」と度々言い学校を抜け出そうとする子。
教室に入れず、不安で暴言ばかり吐いている友達を必死で説得して教室まで一緒にいこうとする子。
今の課題は喧嘩をしないことと泣きながら二分の一成人式で語った子。
教室を抜け出しいたずらをして、やり直しをする子。
両親が共働きで登校時間にはいつも遅刻、髪も長くボサボサだったがバッサリ切って職員室で可愛がられていた子。


家庭環境も個性も全てが違う子供たち。
そんな子供たちが様々な事案を起こす中、
どのように子供に接し、
どのように導いていったらいいのか大人が四苦八苦する様子は
全ての教員、子供を育てている親が共感し、参考になるはず。


昔は保護者、学校、地域が三位一体となって子供を育てていた。
そんな理想の環境を再び作り上げようとしているように思った。

どのようにすれば児童が、地域が、一体となって進んでいけるのか。
そこには爆速で結果を出すようなHow toは存在しない。

子供の心情に寄り添い、言葉をかけ、導き、信じ、待ち、見守り、励ます。
大人のそんな地道な行動の連続が、子供の一瞬一瞬に成長を芽生えさせる。
時には成長として気づいたことが長く続かないこともある。
しかし、その一瞬一瞬の「点」を何個も作って行くことで、それはやがて「線」となり、子供の力となっていく。
未来へ繋がっていく。


このような真剣な場づくりを他の小学校でも、中学校でも、高校でも、会社でも、政治でも、
社会全体で作っていけたらもっと心豊かに、支え合って、分かりあって、生きていけるのではないか。


校長の木村泰子さんが大空小学校に掲げたルールはたったひとつ
「自分がされていやなことは人にしない、言わない。」

インターネットにより圧倒的なスピードで情報が世界中を飛び交い、忙しい日々に自分のことばかりになりがちな現代人。
もう一度我々は人としての原点に帰り、自分の行動を振り返るべきではないか。
そう突きつけられているようにも感じた。
ビール隊長

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