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共犯のbutasuのレビュー・感想・評価

共犯(2013年製作の映画)
3.5
地味だが良かった。自殺した少女の死の真相を探るミステリー…かと思いきや、物語は中盤である展開を見せる。そもそもかなり分かりやすく伏線や違和感を見せていることからも、この話はミステリーではないと思う。孤独であること、人に理解されないこと、をリアルに淡々と描いておりとても辛くなる作品。

不良少年の彼は粗雑ながら一番まとも。助けられなかった責任感から無言を貫き、罪を被る。優等生の彼は、多分本当の友達がいないのだろう。常に周りに人がいるように見えるが、勉強を教えてもらうために集まっているだけ。その証拠に、休みの日は一人で過ごしているというのだから切ない。そんな彼がとっさに保身に走ってしまうのは当然だが、罪を抱え続けていられるほど強くもない。見ていて辛かった。そして死んだ二人。彼らは孤独で、人と上手くコミュニケーションがとれない。それぞれとんでもないやり方で友達を作ろうとするのだが、これも見ていてもの凄く切なくやるせない。スクールカーストが確かに存在する校内で、メインの男子3人が交わることなんて本来全くなかったのだと思うと、重い青春ものとしてまた一つ胸にぐっとくる。

演出もとても繊細で気が利いている。ストーリーは間延びせずサクサクと展開していくが、心情描写は台詞ではなく映画的にしっかり描く。光の使い方やカメラワークも絶品。特に、映画全体のシーンをカットバックで挟み込むオープニングはめちゃめちゃお洒落で好みだった。

学校という非常に狭いコミュニティをシンプルに淡々と描いた良作。
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