Denkishino

日本のいちばん長い日のDenkishinoのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
3.0
前作と比べてはイケないと思いつつもどうしても比べてしまう、これはリメイクの宿命であると思います。前作は出演者の殆どが戦争を経験しておりますが、今作はほぼ戦争を知らない人たちの出演。そこに意味もあろうと思いますが、あれだけの大作、出演者の方々も並々ならぬ態度でリメイクにあたったと思います。リメイク出来た事が嬉しいです。構成や掛け合いなどが特に軽かったり、逆に説明過多で説教くさく感じることなく観ました。しかしながら、やはり緊張感、これで日本が終わるか変わるかの瀬戸際でそれぞれの立場で持つ気概というようなものは少し薄く感じました。降服反対派の方々は、汗だくで肌ベトベトな感じは出ていますが、心の中まで汗だくベトベトという感じは今一つ無く。そして、やはりラストの切腹。これは三船に軍配です。役所さんの肚が座ってない感じ。軽いとは思いませんでしたが、これは腹切ってさらけ出す。というその気合いがどうしても薄く感じられてしまいました。松坂桃李さんも鬼気迫るというよりは、鋭いナイフな感じの無表情で刺してくるのではという殺人鬼的雰囲気で…ちょっとズレてるように。
全体としては、少し美談よりなのが気になりました。この事件は美談では決してないと思います。良かれ悪かれ日本の未来というよりは、行く末を命懸けで考えた人達の事だと思っています。というものの、戦後70年、私も戦争を知らない幸福な人間でありますから、ああだこうだとこの映画の元になった事件を肌身で知ることはありません。知ったかぶりなのは御承知。
しかしながら立場や主義、主張は置いておいても、日本の変わり目、この国の行く末を本気で考えて行動した方々に礼をしたいと思います。
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