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日本のいちばん長い日のshowのネタバレレビュー・内容・結末

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルは「いちばん長い日」だけど、映画は1945年4月の鈴木貫太郎内閣成立から描かれる。原作はそんなだっけ?と思って読み直してみたら、やっぱりこの映画独自のプロローグだった。まあ、それ自体は親切だし、8月14日から15日の「長い日」を描くために必要だ、というのならばそうだろうと思う。

で、ついでに原作をパラパラと読み直してみたら、けっこう色々再解釈されていることがわかってきた。阿南惟幾と家族の関係やら、鈴木貫太郎と家族の関係は、原作にはない。ということは、この映画は「家族」というファクターを入れることで、映画前作との違いを出し、かつ現代的な問題提起をしようとしているのかもしれない。でもそれはいかにも中途半端という印象を持った。それならば、映画後半の主人公たる畑中の家族も登場させなければ、一面的ということになりかねない(畑中に家族がいたのか、知らないけれど)。途中、誰だったか忘れたが反乱軍の将校がわずかに家族の話をするシーンがあったが、阿南に比べてわずかな扱いである。あえて重臣たちの家族だけを描く意図が、どうも伝わってこなかった。有り体にいえば「ホームドラマ」ありきなのではないか、とすら思えてしまった。

阿南の人物像も、陸軍の暴発を抑える理知的・合理的人物であることを強調している印象が強い。最後まで継戦派としての態度も崩さなかったこと、国体護持を絶対的なものとしていたことへの描写が弱められているような気がした。遺書を書くシーン、名前を書き終えたところでカメラを切り替えているが、名前のさらにあとに「神州不滅を確信しつつ」と記しているところをあまり写さない、とか。別に陸軍の暴発を防ぐことと、国体護持は矛盾しないので、そのまま出したほうが、より阿南の人物像を直截に伝えた気がする。

ロケが、関西の有名な場所が多く、「お、これは神戸大学」「京都御所」という感じで楽しめてよかった。ただ皇居に甲子園ホテルは、ロイド感が強すぎて、ちょっとやりすぎじゃね?という感じもした。
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