mamiKO

ひそひそ星のmamiKOのレビュー・感想・評価

ひそひそ星(2015年製作の映画)
3.8
とりあえずこんな映画は初めて観た。
テレポーテーションが可能になったのち、あえて時間をかけて宅配を頼む人間達。
『距離と時間に対する憧れは、人間の最後のプライドなのかも知れない』
そう言う配達員アンドロイド鈴木は、良くある近未来映画のアンドロイドと違って非常に人間的。中肉中背。特別若くもない。
実に人間らしい彼女が自分で自分の電池を変えるシーンが好き。
そして長屋風の瓦屋根の宇宙船。
番台だけの浜辺のタバコ屋さん。
砂だらけの茶箪笥に愛おしい人の写真。
かなりアート色の強い作品ですが、どの星も3.11被災地を舞台にしているという事で、嫌な気持ちになる方も多いのでは、と。

しかしひそひそ星だけが、日常の喜びに溢れていた。静かに過ごすその星は、唯一『これから』を感じさせる星。影だけなのに、人々の暮らしを感じさせる星。町並みも無く、ただ1本の廊下だけがある、人々の影しか見えないひそひそ星。
宇宙船にはまだたくさんの荷物。
やることはたくさんある、時間もかかる、でもひそひそ星、それが未来。なのかも知れない。

最後に、たっぷり睡眠をとってからの鑑賞をおすすめします。
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