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ひそひそ星のNessのレビュー・感想・評価

ひそひそ星(2015年製作の映画)
3.8
日本では大変希少な、宇宙を舞台にした実写SF映画。園子温監督作品。

人工知能が8割を占め、人間は絶滅種に認定された世界。ひそひそしゃべる配達アンドロイド"鈴木洋子"と壊れかけの人工知能の会話で物語はゆったりと進んでいきます。

やかん、テープレコーダー、縫い物、タバコ屋、タンス、障子など、昭和を連想させるデザインが頻出し、街並みやモノクロの映像とともに独特の空気感を醸し出していてとてもかっこいいです。

廃れていく感情のなかでも手渡しで人から物を受け取る感動は残るのでは?そしてそれは人工知能には理解できないような、ささやかな人間の反抗なのではないか。人間的で、素敵なテーマをもった映画。

効果音、言葉、物が発する音などの音響もかなりこだわって作られているのがわかります。

予算の問題などもあり日本という国でハリウッド的な実写SF映画をつくるのは困難なことでしょう。(「シン・ゴジラ」についてはその点すごいと思います)
しかし宇宙を舞台にした設定でもアイデア次第でやりようはあるのだとこの作品で確認させられました。

監督の作家としての姿勢がとてもかっこいいと思うし、今後もすこしずつ日本のSFが発展していくことを願っています。
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