ガブXスカイウォーカー

吼えろ鉄拳のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

吼えろ鉄拳(1981年製作の映画)
4.5
冒頭から香港でハチの巣にされ死ぬ真田広之。えっ、これで終わり?
と思いきや、実は死んだのは双子の日野原透(真田広之2役)。本当の主人公、日野原譲次(真田広之2役)はそんな事も露知らず牧場で働いていた。譲次は自分が幼い頃、響鉄心(石橋雅史)により金持ちの日野原家からさらわれた身の上であることを知り、日本の実家に向うが・・・・?

なんと本編の8割は真田広之の華麗なアクション! いかに広之をカッコ良く写すかが今作のテーマであろう。広之もファン、スタッフの期待に応えるため、吹替えなしで体を張りまくる。京の街狭しと忍者軍団相手に逃げ回るシーンは鈴木監督お得意のギャグを交え冗長感はあるが、今となっては許せるおかしさがある。香港では街中で走行中の路上バスの屋根でバトル、荒野では走る馬から走るジープに飛び移る、連続爆発の中を生身で疾走などなど、これでもかとJAC軍団相手にバトルを見せつけてワクワクさせてくれる。

脇を固めるのは、志穂美悦子、千葉真一、黒崎輝、成田三樹夫、アブドーラ・ザ・ブッチャー、田中浩、石橋雅史、安岡力也ら、80年代ならではのそうそうたるメンバーだ。今では故人だらけで再現不可能な個性的な味を出しており、これも必見だ。

だが設定と脚本は当時でも古臭い。なぜ響鉄心は悪人なのに、幼い日野譲次をさらって正義感強く育てたのであろうか? 譲次といる内に改心したが手放せなくなったと言うことか? 

いや、そんな些細なことは気にしてはいけない。今作はやはり広之の鍛え抜かれた体と渾身のアクションを楽しむべきであろう。現在、ここまで観客を夢中にさせてくれるアクションスターがいるだろうか? いや、いない(当の本人だって今は無理だ)。若いアクション映画ファンには、ぜひCGのない命懸けのアクションをその目にしっかりと焼き付けてほしい。
懐かしさ補正で4.5!