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あんのhirogonのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.0
原作は、ドリアン助川の小説。
あまり予備知識なしで見ましたが、ハンセン病を描いた映画だったのですね。
本作では、樹木希林が、どら焼き屋であんづくりを手伝う元ハンセン病患者を演じています。

河瀬直美監督は、ハンセン病というテーマに加えて、世間の噂の怖さ、その噂の対象者が社会的に抹殺されていくような状況を描きたかった?
安易な噂に加担することは、人の人生を狂わせる可能性があることに気づいて欲しいと。

千太郎(永瀬正敏)は、どら焼き屋の雇われ店長であり唯一の店員。
ある日、徳江(樹木希林)がやってきて、お店でアルバイトとして雇って欲しいと千太郎に相談します。
千太郎は、徳江の年齢や少し不自由な手の状態などを考慮して、雇うのは難しいとやんわり断るのですが。
徳江は、「皮はいいんだけど、あんがねぇ」と自前のあんを置いて帰ります。

千太郎は、あんは自分で作ったことはなく、市販のものを使っていたのですが、徳江のあんのおいしさにビックリします。
翌日もやってきた徳江に、千太郎は「あんづくりを手伝って欲しい」と徳江を雇うことを決めます。

それからの、徳江と千太郎の早朝からのあん作りの様子は楽しい。
そして、徳江のあんのおいしさが徐々に評判になっていき、お店は繁盛するようになります。

しかし、徳江の住む場所や手の状態で、一部で徳江が元ハンセン病では?という噂が広がりはじめます。
どら焼き屋のオーナー(浅田美代子)も、風評被害を考えて徳江を解雇するように千太郎に進言します。
それでも徳江を雇い続ける千太郎でしたが、そのうち客足がぱったりと途絶えるようになり、徳江は自らお店を去ります。

その後の経緯の概略は、ネタバレ度高いのでコメント欄に記載します。
千太郎と店の常連の女子中学生ワカナ(内田伽羅)、そして徳江とその友人佳子(市原悦子)との交流。
そして、千太郎が徳江のあんを守るためにとった終盤の行動がじんわりと胸に迫ってきます。

エンディングでは、秦基博の歌「水彩の月」が流れます。いい歌です。


P.S.)ハンセン病と映画
ハンセン病は幾つかの映画で取り上げられていて、邦画では「砂の器」、洋画では「ベン・ハー」が印象に残っています。
(映画、ハンセン病)でネット検索すると他の作品もでてきます。

P.S.)ハンセン病問題基本法~wikiより抜粋~
2009年施行。ハンセン病問題の解決促進を目的とする。
主に、国立ハンセン療養所や国のハンセン病患者に対する対応を定めている。
この法律の附則には、らい予防法に関する法律の廃止も定めている。
この法律における「ハンセン病問題」とは、国によるハンセン病の患者に対する隔離政策に起因して生じた問題を指す。
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