なると

あんのなるとのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.3
河瀬監督作品、初鑑賞。
まず思ったのは、1つ1つのカットが素晴らしく美しい。これだけで惹かれる作品でした。ただ撮ってるのではなく、しっかりキャラクターの感情も感じ取れる桜の景観のカットなどもありました。綺麗だった。

そして樹木希林演じる徳江はハンセン病を患っている人。そのおかげで昔はずっと隔離されていた。彼女が桜の木や、どら焼きの餡に対しても強く感情を入れるところは悲しくなります。どれだけ辛かったか、そして愛情の大切さを思い知らされた。また彼女に対して涙する永瀬正敏演じるどら焼き屋の店長も言葉数が少ないながらもこの映画では大活躍。彼も刑務所経験ありで、被害者への慰謝料で苦労。しかし被害者はただ被害者ヅラしてるだけで、あまり苦しそうに見えない。1つの事件で店長の人生を、残りの人生を棒に振ってしまった悲痛な感情がずっと表情から見られた。
どのキャラクターも、それぞれの苦しい人生があり、私たちにどう生きるかを感じさせられた秀逸な作品でした。
なると

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