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あんのyochinoirのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.0
桜や木の幹や月や小豆を愛で、言葉をかけ、話を聞く徳江さん。
自分が今まで病気のために隔離され、子どもを産む機会さえ奪われて、どんな想いをしてきたのか。
自分がどんな悲しく悔しい気持ちを味わってきても、それを誰にもどこへもむけず、ひとつひとつのこと、もの、時間、ひとを大切にしてきたことがよくわかる。

生きる意味なんてわからなくてもいい。
生まれてきたことを祝福し、自分以外の生まれてきたものに対して祝福する心。
その心を持って感じる様々なことにとても価値があって、徳江さんはそれを糧に生きてきていたのかな。

どらやきやの店長さんは、そんな徳江さんの姿や人生をそばでみて、きっと人を傷つけ償いの人生である自分の生きるという意味も感じることができたんだと思う。
永瀬正敏、光でもそうだったけど心に闇を抱える役が本当によく似合う。

そして樹木希林さん。
本当に徳江さんそのもののようで演技にはみえなかった。
希林さんは歳をとってできたほうれい線にも、いいじゃないのー、わたしはきにいってるのよっていってありのままの自分を自分自身で認めて受け入れていた。
自分の着ていた着物一枚一枚もお役目を終えれば、ベッドカバーしたり雑巾にしたり、最後の最後までその役目を変えて使い切っていく。
これは自分自身に対してもそうだったんだろうな。

映画とはそれてしまったけど、生まれてきていいことばかりじゃなくても、本当にささやかな月のあかりや、木の葉の舞う様子や、桜が散る姿を愛でることができる。

私自身もそう。
ちっぽけで自分にはなにもないけど、生きる意味はある。
お金をたくさん持たなくても、偉くならなくても、誰かに否定や批判をされても、誰かのためだけに輝くこと、小さなことに心動かすことそれでいいのかも。