deenity

あんのdeenityのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.0
職場の友人に勧められた本作。落ち着いた良作で、いろんな面で日本らしさを感じました。

もう本作の圧倒的魅力は樹木希林の存在感に他ならないでしょうね。役柄としてはハンセン病による差別を受けてきたお婆ちゃんなのですが、あのおどおどとした話口調とかゆったりとした挙動とか、優しい言葉だったり温かい心配りだったり、とにかく画面に映った時の存在感が抜群でした。

また、その空気感に素朴ではありますがグッと染み込むような永瀬正敏の渋い声もいいですね。エピソードの半端さはあの泣きの演技で全て帳消しになりましたね。

まあハンセン病に対する認知が実際のところどれほどあるのかってわかりませんが、例えば隔離がなくなったのもわりと最近だと聞きますし、薬なんかも発達してきて治療もでき、何なら感染力すら強くないということが今ではわかってきています。
とはいえ差別は根深い問題ですし、そういった偏見ってどれだけ知識を得たとしても先入観を取り払うのって難しいんですよね。

じゃあどうするかっていえばやはりこういう映画を見るに限ると思うんです。その中で少しでも差別が薄れてくることを願うしかないように思います。本作見て徳江さんに好感を抱かない人なんていないと思いますから。

印象的なシーンも多かったです。四季を取り入れた辺りは時間の流れだけではなく日本の良さを感じる上でもよかったですね。あの女学生三人衆もよかったと思います。
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