あんの作品情報・感想・評価

あん2015年製作の映画)

上映日:2015年05月30日

製作国:

上映時間:113分

4.0

あらすじ

縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。そのお店の常連である中学生のワカナ(内田伽羅)。ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…

「あん」に投稿された感想・評価

樹木希林さんの演技力が凄い。
何が凄いって、「凄い演技力」って感じないんですよね。
ドキュメンタリーを見ているよう。

満島ひかりさんや滝藤賢一さんは私の大好きな役者さんで、何かが憑依したような凄みのある演技に「これぞプロ!」とド素人が偉そうに感動したりもしますが、樹木希林さんは、その役が最初からこの世にいたかのように自然。

悩み抜いた先に釈迦が悟りを開いたように、演技を極めた結果演じない境地にたどり着いたような凄み。
いや、勝手に「極めた」とか「演じてない」なんて言ったら色んな人に怒られそうですが、私はそのくらい衝撃でした。

ストーリーも素敵です。
テーマは非常に重いですが、映画の雰囲気自体は温かで、希望に満ちている。
「差別と食べ物」…、あ、チョコレートドーナツ。
あの映画も大好きなんですよね(脱線)。

先程の演技の話ではありませんが、役者でなくても人はいつも何かを演じています。
「男女」「父子」「師弟」「上司部下」「恋人」「社会人」「人種」…。
その中で、自分を縛る枠としての役割が存在する。
また、どんなに憧れたってなれない役もある。
望んだ役もあれば、押し付けられた役もある。

あんで言えば病気、借金、前科、差別。
チョコレートドーナツならば障碍と同性愛でしょうか。

そうした役に押し潰されて、妬み嫉み憎み怨み、自己嫌悪に苦しんだり「本当の自分」なんて探しだしたり。

何者かを演じる事も、何者も演じない事も、命を無意味にはしないのでしょう。

無口に見える月も桜も小豆も、歴史があり、見れば見えるし聞けば聞こえる。
自然を見ながら、聞きながら生きれば、立派な何者かになる必要なんてない。

静かで優しいですが力強い、素敵なメッセージでした。
なな

ななの感想・評価

4.6
樹木希林さんの凄さに最近気付いた次第です。ご冥福をお祈りいたします。
希林さんがメガネを外す仕草や、字を書く仕草ですら見とれてしまうほど、深い演技を感じます!
まるで、ゆっくりときが流れているみたいでした。何でだか分かりませんが、幸せな気持ちになれました。話は結構重たかったんですが…不思議です。
特に印象に残ったのは、
徳江さんがあずきと会話をしている所です。言葉発さないものと会話するって大切だなと思いました。
泣けるシーンもたくさんありました😭
店長さんへの手紙、エンディングの秦基博さんの曲に声。とっても響きました‼︎
あぁ〜、良い映画でした☺️どら焼きが食べたい!
れい

れいの感想・評価

4.6
樹木希林さんの追悼上映にて鑑賞。3年前に観た時は泣けて泣けてどうしようもなかった。エンドロールの秦基博の「水彩の月」で涙腺崩壊(TT)。まさか今回希林さんの追悼上映で「あん」を観ることになるとは!この映画が好きすぎてロケ地の久米川のどら焼き屋の跡地や永瀬正敏の行きつけの蕎麦屋さんに行ってみたこともあった。病気に限らず差別の心は誰にある。永瀬正敏は差別を気にしてない振りをしていたが、結局彼女を守れなかった。それは差別をしているのと同じこと。ただ自分が同じ立場だったらどうするだろう?ただ泣けるだけではない深いテーマがある。
Hana

Hanaの感想・評価

3.9
桜の下でどら焼き。
徳江さんもきっとあそこへ居たのかな…
なんて思いながらの
エンディングの秦基博。
沁みました。
eisart

eisartの感想・評価

4.2
私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた。だとすれば、何かになれなくても私たちには生きる意味があるのよ。
馮美梅

馮美梅の感想・評価

4.5
桜の花の咲く頃、千太郎が営むどら焼き屋に徳江という老女がアルバイト希望でやってくる。最初は何度も断りを入れるけれど、彼女の作った餡を食べ、採用することに。

千太郎と徳江のどら焼きは大評判に。しかし、オーナーの奥さんから徳江がハンセン病患者だと知らされ、辞めてもらうようにいうけれど、納得できない千太郎。

千太郎自身もなんか訳ありって感じ。千太郎が休んでる時、餡を作りに来ただけの徳江だが、お客さんがいて、どら焼きを作る羽目に。そんな時、ワカナがやってくる。

翌朝、千太郎が店に行くと徳江が餡を作ってる。昨日の話を聞いて、千太郎は徳江に接客もお願いすることに。さて、お客さん来るのかな?

千太郎は自分の話を徳江にする。
そして、ある日、ワカナに指のことを聞かれる徳江。千太郎もあえて何も言わない。

ワカナは先輩と図書館でハンセン病の本を読む。やはり、心ない人たちの噂が出てるのか客足が途絶える。

その日を最後に徳江がお店に来なくなった。そして彼女から手紙が届いた。そこには千太郎を気遣う徳江の姿があった。

家出してきたワカナがどら焼き屋に。徳江がいないこと、徳江に色々話した時のことをはなす。そして、徳江の病気のことを言いふらした人間は実はワカナの母親だった。

千太郎は徳江を守れなかっとこと後悔している。ワカナは徳江のいる施設に会いに行こうと千太郎を誘う。

施設の中に入ると、みんなが楽しそうにおしゃべりをしている。徳江と再会する2人。

徳江が私は大丈夫といえばいうほど、千太郎は自分の不甲斐なさ、周囲の偏見に徳江を守れなかったことに後悔する。そして千太郎の過去を手紙に徳江に送る。

それから、ワカナと千太郎の新しい餡作りが始まったが、オーナーの奥さんがまたわけわかんないこと言い出した。

千太郎の怒りの気持ちわかるぅ。
でも立場的にはね。で、家出怒りをぶちまけてる(笑)

ワカナは徳江に会いに行くとそこに千太郎も姿が。佳子から徳江が亡くなったことを知らされるふたり。

徳江の部屋を案内する佳子。形見に徳江が愛用していた餡作りの道具とテープが。

そしてまた春の季節…
公園でどら焼きを焼く千太郎。

ゆっくりと流れる時間、子供達の声と鳥の鳴き声、そして風で揺れる木々の音。キラキラした徳江の姿が悲しくも素敵でした。

世の中、まだまだいろんな偏見に満ち溢れてるけれど、誰もが誰かの役に立ちたいと思って生きている。たとえ人から見て何もできないだろうと思われたとしても、生きていることそれも大切なことなんだと思わせてくれる作品でした。
樹木希林が死んでしまって報道されていて樹木希林の作品がたくさん紹介されてて、あんまだ見てなかったから鑑賞。
本当に樹木希林は素晴らしい女優さん。
演じてるはずなのにもう、その人になっちゃってる。スクリーンで見た人は女優樹木希林ではなく、徳江さんだった
なのに彼女を見ると邦画みてるっていう実感。ほんと凄いよ

どら焼き食べたくなる美味しいどら焼き
桜餡の最中も食べたくなる(これは桜がただ綺麗だから笑)
はぁ美味しい時は笑わなきゃ

優しかったな〜ふんわりと甘い優しさ、優しさに包まれているような、でも中身に芯のあるストーリーがあって、まさにどら焼きみたいな映画だったね〜
『あん』ドリアン助川(2013/ポプラ社)
・ハンセン病(癩病)
maki

makiの感想・評価

4.5
樹木希林さんが亡くなられて、勧められていたので鑑賞。

改めて、樹木希林という女優の素晴らしさを実感する。
希林さんは作品に描かれる時間だけじゃなく、それまで生きてきた時間も含めて、その延長にあるいまの姿というのを違和感なくみせてくれる、その役がいままで生きてきた人生も含めて、人物像を仕上げているというのか、そういうものを滲み出せるのがすごい。

炊きたてのあんから立ち上がる湯気、
日差しやそよぐ風など、切り取り方が綺麗で印象的。

最後に語られた
私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。…だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味がある。

という言葉が胸に響く。
N

Nの感想・評価

4.5
無駄が省かれたシンプルな映画でした。
その分、日常の余白が音と映像で豊富に描かれていた。
綺麗に映る自然の音と風景を見ると自分の故郷や記憶が思い出された。
このような描き方をしているからこそ、徳江さんの言葉に自分の心がリンクする。
「こちらに非がなくても、世間の無理解に押しつぶされそうになる。そういうときは知恵を使うことも必要」
「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。〜だとすれば何かになれなくても、私たちには生きる意味がある。」


この無駄を省いたシンプルかつ余白という魅せ方は樹木さんのメッセージの伝え方と似ているとも思った。
とても救われました。これからも心の支えであると思います。ご冥福をお祈りします。
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