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バケモノの子のmiuのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
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親が子どもを守る、子どもが親を救う。
教えて教えてもらう、育てて育ててもらう。一番身近な存在から色濃く学ぶことは、あまりに大きくて処理しきれないことだってある。それでも、向き合ったり逃げたりして自分の造形が何となくできてくる。足りないから満たし合う、一緒に成長して一人前になる。自分だけではどうにもならないことでも、一緒ならどうにかなるかもしれない。親子に限らず、誰かの存在で踏みとどまれたり、踏み出すことができる。言葉が支えになって、思い出がお守りになって力をくれる。
自分が自分じゃなくなる瞬間、誰にでもあるね。闇に足を掬われないように立ち止まったり、考えたり、走ったり、泣いたり、抱きしめたりして進んでいく。空洞に吸い込まれないように、色んな感情と記憶でいっぱいにするんだ、手を離さないで。
写し鏡の白鯨は、自分自身。復讐なんて存在しないのかもしれない。自分と戦っているのだから。
見えなくても会えなくても、きっと自分の中で生きているから大丈夫。心に棲む化け物を飼い慣らして、一緒に生きていく。
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