いくら

バケモノの子のいくらのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
2.6
言うなれば、千と千尋のゲド戦記、みたいな話でした。うーん。なんだろう。すごく良い作品なんだろうけど、乗り切れない印象。特に後半の人間界に再び行く所からが…うーん。

もちろん良い点はあります。まず、声優さん。特に宮崎あおいさんが良かった。役者の力で支えられていたと言っても過言ではないくらい、皆さんキャラクターにしっかりハマっていたと思います。大人になってからの九太は私の耳のせいもあってか、よく聞こえませんでしたが…

前半においては普通に楽しく見ていました。特に、死んだ母親の言葉で成長出来たシーンがとても良かった。九太にとっての成長が熊徹だけで完結してないのがリアルで…私達っていろんな人の言葉や仕草で成長してんだなって思えました。

さて、まずこの作品の何が問題なのかなーというと、プロットがしっかり作られていないことだと思います。例えばヒロインと出会うための図書館も、ただそのためのだけに用意された感じにしか見えなくて…彼が本好きとかだったら行く理由は分かるんだけど…不良が図書館にいるのも、渋谷じゃ普通なんでしょうか?違和感がすごかったです。

お話がありきたりな点については別に構わないと思います。不良に絡まれてるヒロインを主人公が助けたり、育ての親と実の親で揺れたり。ただその話をこちらに予想させることなく面白く繋げるのが脚本家としてのスキルだと思うのです。

あと、思っていることを台詞で説明しすぎなんですよね。特に闘技場のシーンがかなり押し付けがましく感じました。もう少し観客にどういう気持ちなんだろう?と託すシーンがあれば、本当に伝えたいセリフにもっと重みが出ると思うんです。言葉ってすごいパワーを持ってるのになあ。

私の思う押し付けがましい台詞とは、例えば、街で自分の心の闇を見た時、「はっ!あれは…昔の俺…はっ!消えた!」というようなもの。いや…消えたこと、昔の九太であることは映像でわかるんだし…俳優さんが声を務めるなら余計に不必要かと。そういう点ではジブリは説明台詞がなくてとても好きなんです。

あと、キャラクターの存在。特に気になったのは、ヒロインの楓。これに関しては私の先入観のせいもあるかもしれませんが、細田監督作品=男は強く女はたくましいというイメージだったもので、どうも今回のヒロインが全く魅力を感じなくて残念でした。あの鯨に向かって言うセリフとか、的はずれすぎません?一郎彦を闇だの敵だので決めつけてるのは楓だけだよ…。熊徹も、何故あそこまで贔屓されているのか、私には分かりませんでした。

九太の心の穴を、熊徹の刀が埋める。その形でのエンドはとても良いと思うのですが、何故かあまり響かないのは、他のキャラとの話を盛り込みすぎて、最終的な「互いに一人ぼっちだった親子の絆」というテーマが薄れてしまったからなのかなあと思いました。

ただ、私はまだまだ若造で、ちんちくりんなので、恐らく経験豊富な親御さんから見たら心に刺さる作品なのかなあという印象です。私には早すぎたのかな?

細田監督、アニメーション監督としてはとても素晴らしいですが、お話を作るのはまだあまり上手ではないのかなあという印象を受けました。上から目線な感想ですみません。未来のミライ、賛否両論で未だに見るか迷っています…。