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バケモノの子のKUBOのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
4.5
冒頭からちょーリアルな渋谷のスクランブル交差点に見とれるが、それどころではない。交差点を渡る全ての通行人が動く、動く! 熊鉄の部屋の散らかったゴミが蹴られて跳ぶ。闘いを見守る遠景のアパートのベランダの人まで動く! 手描きでしかもこのこだわりよう!

渋谷のセンター街の路地に入ると異界に入り込むという設定は「千と千尋」のようでもあり、日常から非日常へというところからは「ナルニア国」的とも言える。特に渋谷生まれ、渋谷育ちの私には、全編に渡って描かれる「渋谷」がより物語を短かに感じてちょー盛り上がる! 逆にこの作品を見て渋谷に来たがる人も増えるんだろうな。

声優、いやキャストがこれまたすごい! 熊鉄に役所広司、九太(幼年期)は宮崎あおい(これがいい!)、九太(青年期)は染谷将太。熊鉄の仲間役に大泉洋、リリー・フランキー(この2人のキャラが本人ソックリ!)。実写で映画作れる豪華キャスト! 実力派俳優による「声」の演技は、思った以上に自然で、熊鉄と九太の成長と絆の物語を血の通ったものにしている。

ラストのバトルシーンの幻想的で美しいこと。SF映画でもそうだが、こういった「見たことのない」絵を見せてくれるとうれしくなってしまう。

細田守は「時をかける少女」からずっと好きな監督だが、間違いなく「サマーウォーズ」と並ぶ最高傑作! ジブリの鈴木さんは庵野を後継者とか言って持ち上げているけど、これだけしっかりしたオリジナル作品を3年毎にリリースしている細田守こそが次代のアニメ界をリードする旗手に他ならない。
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