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バケモノの子のmatchypotterのレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
3.7
胸ん中の剣だ!

、、、ここんとこのっ!

、、、ここんとこのぉっ!!

シンプルな子弟愛の話かと思ったら違った。

形式上の子弟関係にはなるものの、実質的には師匠と弟子だけども、お互いはみ出し者の、ぶっきらぼうで、頑固で、一度決めたら曲げない、弱くて、強い、似た者同士。

お互い、親という親もおらず、自分を導いてくれる人もおらず、自分で生きていくために。
誰かが教えてくれるわけでもなく、でも前に進まないといけないから、強くなるために。

だからといって、この2人が、仲良くなって、絆深めて、親子みたいになりました、めでたし、みたいな話じゃないのが良い。

確かに最初は半ば強引に1つ屋根の下で暮らし始めて、、、ではあるけど、関係値的には親子みたいな間柄だけど、どこかお互いを埋め合っていくような、一緒に強くなっていくような、どっちかが困ってる時は何とかしてあげるような。友達みたいなのような。

決して器用ではないこの2人が、ぶつかってばかりのこの2人。
バケモノ世界で長になるようなガラでもなければ、渋谷の街を守るガラでもない。
しっかり懇切丁寧に教えを授けるガラでもなければ、大人しく教えをうけるガラでもない。

この元いる場所で、鼻つまみモノ、腫れモノみたいに、どこか少し周りと距離を置かれる存在同士が、巡り合い、なんだかんだと言い合いながら、成長し、尊重し合う。
尊重しますとか、頑張れとか、そんなこと言わないし、血も繋がってるわけでもないし、仲良しでもないけど、だからこそ分かり合えるし、背中を押せる。

どの関係とも言い難いけど、この2人の間にある、絶対的な繋がり。お互いがうざったいし、いたらいたでめんどくさいけど、でも、いないならいないで不安と言うか、何だかんだ相手のために身を投げ出し、それを受ける信頼関係というか。
羨ましくなる。ほんと、羨ましい。

にしても、声優陣、豪華過ぎだわ。
役所広司は知ってたけど、のっけから大泉洋とリリーフランキーの掛け合いから始まるのか。終始この2人の声とキャラは気持ちが良い。
で、蓮。子供の頃は宮崎あおいで、成長すると染谷将太。豪華な変声期だな、おい。
からの、楓。広瀬すず。おしとやかそうな女子高生に何と動きと活力を与える声か。
宮野真守、麻生久美子、さすがに安定感が凄すぎるな。この声、安心する。
津川雅彦さん、このキャラ、あんたしかできないよ、その声と、抜けた感じは。津川さんありきで描かれたキャラじゃないのかこれは?

渋谷〜原宿が舞台ということもあってか、個人的にとても見慣れた風景の中だったことも良い。あの辺のあそこからあっちの世界に行くのか、とか、めちゃくちゃワクワクした。今度あの辺、ウロついてみよう。

人の心は闇を抱える。そう、みんな抱えてる。みんなそれぞれそれと戦ったり、折り合いつけたりして生きてる。時には闇に負けたりもする。その繰り返し。なぜなら、その闇も自分だから。闇が嫌だとしても逃げられることでもない、それも自分だから。そして、それに立ち向かうのもまた自分だから。

そんな勇気を、たくさんの人からもらえる映画。

ここんとこのぉっ!!
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