身体で自分の意思や感情を現すのが下手だと思う現代の日本人の俳優さんたちが肩を震わせ表現する。ここまで見事な演技合戦映画は珍しい。ほぼ「間」さえ与えない。坂本龍一の音楽を愛でる余裕も与えない。
ストーリーもいいし、俳優みんなの身体が良い。わざと太らせたな。。な、人間らしさが愛おしい。
東京舞台の役者さんはとても痩せていて肉感的じゃないツルッとしたレプリカントみたいな妻夫木、彼のゲイ兄さんっぷりはほんとそのもの。硬そうな身体。この人、メンズノンノの阿部ちゃんよりうまいかも。自分で髪の毛を切る野生の綾野剛も最高。二人の関係はどこか信頼していないところもあり、ぎくしゃくねっとりしている。
しかし海の近くの森山未來も松山ケンジも素朴なのか、演技なのか、野蛮なほどの人間的香りを見せてくれる。
それにしても森山未來の猿のようなしなやかな動き。日本映画の宝。彼の怒りはドグロを巻いている。その分狂気じみてるが、キャラの軽さでカバーしている。
ここでも池脇千鶴がいい味出してるわー。彼女もう日本のオリヴィア・コールマンですね。お姫さまも、おばちゃんも絶対できるから。この人はもう60歳になっても活躍するでしょうね。すごすぎる。
渡辺謙が、、インセプションのあのときとぜんぜん違うんですが。身体も緩めて。さすがハリウッド俳優。カメレオンだわ。宮崎あおいの頭の薄い女役も最高。
今回ピエール瀧が『凶悪』と逆の立場で笑ったけど。サラリーマン刑事っぽさを存分に楽しんでた感じ(この人はいい役者だ)
フラガールとはまた違う味で。怒りが何なのかをわからない私達に見せてくれる。怒り泣き、怒り笑い、怒り呆然、怒り許し、怒りビビリ、、。。久しぶりにいい邦画でした。
俳優がひとりずつみんなすごいから、視線がばらついてしまうのか。。とおもうやいなや、しっかりちゃんと見てないと最後の種明かしがわからないので、ちゃんと見ました。
この映画は決してみんなが幸せになれない。。。(なるひともいるが)ひどい映画だけど、これが映画の真髄だわ。登場人物に感情を取られてしまった。真夏の絶望感の森山未來の怒りに奪われる。お茶を出してしまった奥さんと。