ハリー

怒りのハリーのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.1
邦画より洋画派! そんな人は多いのではないでしょうか? 私もその1人であります。
しかしながら、邦画もすごい! と思える作品です。 久しぶりに、邦画でこんなにも考えさせる、こころに訴えてきた作品に出会いました! まあ、そんなに邦画観てないんですけれどもw


夫婦殺人事件の犯人が1年経っても捕まっていない。そんな中、千葉、東京、沖縄を舞台に謎の男がそれぞれ登場する。
それぞれの話は独立しているのですが、カットから次のカット、1つのシーンから次にシーンへのつなぎ方が非常に巧妙ですので、テンポが良く、飽きません。e.g 舞台が変わっているのに、音は続いていたりetc

指名手配犯の写真は謎の3人に本当に似てますね! 整形をしたら、謎の3人の役者さんにホントになりそうですねw
キャストがとにかく豪華です! 日本、世界を代表する渡辺謙さんだったり、中堅、若手で演技が評価されている役者さんばかりです。脇役ですら、そのような方々が演じているので、非常に映画が引き締まっています。
個人的なMVPはあの方! なのですが、 それだけでもネタバレにつながりそうなので控えておきます。
坂本龍一さんの音楽は言うことないですね! 素晴らしい!

この映画のテーマは「怒り」です。 正直、観賞後は なんで「怒り」? と思ってしまいました。もちろん、作品中に「怒」の文字が出てきますし、怒っている場面も多く出てきます。しかしながら、なんか違う。 自分だったら違うタイトルだなーなんて最初は考えていました。
そもそも、人を信じる時って、何を根拠に信じるですかね?
顔(表情)? 行動? 経歴? 言動? ... etc 様々なモノを総合的に判断して、人は人を信じている。 それら1つでも疑問を抱くと、信じられなくなる事があると思います。 特に、経歴がわからない。今、何をしているのか。何でこの場所にいるのか分からない。と 人は信じることができず、疑ってしまいます。 それでも、自分の目の前にいる、自分が見える、見てきた「人」を信じるのか。もしくは、素性の知れない、わからない、怪しい「人」を疑い、信じないのか。

この作品の「怒り」は、犯人、他人、事件、境遇など多くを含んでいると考えますが、 もっとも焦点を置いているのは「自分」に対しての怒りではないでしょうか。何もできなかった「自分」、信じることができなかった「自分」。それらに対して悲しむというよりは怒りを感じていたのではないでしょうか。


自分なんかがタイトルを疑ってすみませんでした。何を根拠に信じることができなかったんですかね...
ハリー

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