紅孔雀

怒りの紅孔雀のレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.6
現代邦画界を牽引する傑作。
タイトルは『怒り』だが、私には『信ずること』といった題名の方がしっくりきました。末尾近くの妻夫木聡と宮崎あおいの号泣シーンは「信ずることができなかった悔恨」そして「取り返しがつかないことをした絶望」故の、感情の爆発だと思います。
心に残る名言もいくつか。
「本当に大切なものは増えるんじゃなくて減っていくんだ」
「分かろうとしない人にはどう説明しても分からない」
うーむ、深いです。
既に挙げた妻夫木、あおいの他、森山未來、綾野剛、松山ケンイチといった若手俳優陣の演技も、唸るほどに達者。渡辺謙もタジタジの感じでした(まぁ、謙さんは難しい役どころでしたが)。彼らに伍し、大抜擢の佐久本宝もジワジワと存在感を増し、広瀬すずちゃんの熱演も光りました。そして出番はわずかですが池脇千鶴、高畑充希の2女優も、これまた恐ろしくうまいんですね。特に充希が妻夫木に対して話し始める時「何から話をしたらいいか、え〜っと」と言うんですが、この「え〜っと」が何とも絶妙。とと姉ちゃんの演技力、恐るべし。
なお、皆さん指摘されていますが、音楽は坂本龍一教授なんですな。さればこその印象的ピアノ演奏(なお、チェロ伴奏はイケメン2CELLOS!)でしたが、その曲名が「許し forgiveness」というのも、これまた結末を暗示させて秀逸でした。
皆さんのコメントも粒ぞろいでしたが、私的には「Jさん」と「クゥーさん」と「asamikatakuraさん」と「ぴろぴろさん」、この4人の方のレビューが白眉でした。ぜひ、ご一読を!
紅孔雀

紅孔雀