coco

怒りのcocoのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.0
原作を読んでから視聴したので、終盤の脚色を蛇足に感じてしまう。犯人の独白みたいで陳腐だなぁ、と。そう思う反面、犯人の狂気を目の当たりにするシーンは刺激的で犯人役の身体能力が楽しい。

洋平からは田代に見える報道、優馬からは直人に見えるモンタージュ、モデルとなった犯人の逃走経路に近い田中。彼らを信じたい人々の中に生まれた疑心が重なり、どの人物にも犯人の可能性を感じる。

「怒り」をはらんでいるのは経歴不詳の3人というより、3人に惹かれる周囲の人々。大切な人を信じたいのに、根底にある自分達の怒りから信じきることができない。
過去から逃げる彼らはその怒りの根底に寄り添い、必要とし合い、共に生きる未来を描きはじめる。
犯人でない2人の、表情に垣間見える信頼が切ない。
人を見下すことで自分を保ってきた犯人の怒りが、チープなものに思えてくる。
coco

coco