このレビューはネタバレを含みます
人間らしさを濃密に描いた逸品。
小さな猜疑を自らの手で蒔いて、深く根を張り巡らせるまで育ててしまう。
このカルマ…
自虐の極致のようなジレンマ。
まさに滑稽の極み。
無性に…笑えてくる。
醜悪で獰猛な怪物が、自我という硬い鎖で雁字搦めにされている。解き放たれようと眼を血走らせ、暴れ回っている。
その怪物こそが…虚飾の無い自己の本質。
私たちがひた隠しにしている本性。
逃れようとすればするほど複雑に絡み付き、抜け出せなくなる鎖は…底なしの自意識。
それは腹の底から叫んでも…
それよりも深くに澱んでいる。
どれだけ涙を流しても…
蟠り続ける泥の粘性は漱げない。
癒着し浸潤し、深くまで根を張ってく。
まるで呪いのような、自縄自縛。
決して誰とも混じり合わない…この自我。
それだけが『絶対』とも思える…この隔絶。
思いつく限りの全ての謗りと、最大級の自己嫌悪で以って…それを抱き締めよう。
永遠に解けない呪縛の中で、それでも足掻くのが人間。愚かで救いようのない自分。
なんで希望は私たちを苛むばかりで芽吹いてはくれないのか…
不甲斐ない、意気地のない…とても矮小で無力な自分に打ち拉がれる。人の心の薄弱は、どうしてこうも愛おしいんだろう。
美しさの模造品ばかり掴んでは失望し…
それでも本物を探して彷徨い続ける。
途方も無く、狂おしい…楽園への憧憬。
この胸を掻き毟りたくなる感情…
大好物✨(*´꒳`*)
俳優陣の好演…お見事でした。