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怒りのHKのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.0
吉田修一原作の小説を「フラダンス」「悪人」などの李・相日が映画化。キャストは渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、妻夫木聡などなど

八王子郊外に住んでいる若い夫婦が何者かによって殺害された。事件現場の家のドアには被害者の血によって巨大な「怒」という文字が残されていた。東京と千葉、そして沖縄を舞台に、LGBTや貧困など様々な問題を抱えた人たちが己が信じる人をこの事件の犯人捜索の報道により疑い始め、徐々にその不安や疑念により錯綜していく。果たして真犯人は誰なのか。

鬱々とした作品が好きで、何よりも評判がとても良かったので楽しみに見てみたんですよね。

そしたら、ものの見事に期待外れでした。装飾品とかセットとかの不気味さが良かったのでこの点数にします。それ以外は別に大したことのない凡庸な邦画でした。

ここ最近の邦画ってなんで女優さんの泣き顔とかを無駄に冗長な尺を取ってアップにして垂れ流せばいいなんて方法を取るんでしょうかね。この映画でも、宮崎あおいや広瀬すずが最後号泣したり発狂するカットがあるんですが、そこまでに見せる過程がもう典型的な盛り上げ方なんですよね。

あと、はっきり言って坂本龍一の音楽もよろしくないです。これも悲しそうな時は悲しそうなBGMを掛けたり、最後の最後は壮大な曲を掛けたりと何一つ真新しい箇所のような場所は一つもありません。そこがもう駄目でした。

あと、宮崎あおいの演技が好きじゃない。原作に忠実という意見を聞きますが物凄いイライラします。だから却って彼女の演技力には驚嘆せざるを得ませんが、そこがはっきり言ってこの映画観ていて一番のノイズになってしまいましたね。

あと、妻夫木君の泣き演技は毎回変わりませんね。感染列島の時も涙そうそうの時もあんな感じで天を仰いてすすり泣くみたいなことやってましたね。あんた引き出しがねえんだよ。そこが却って腹が立ちました。

映画の絵作りは良かったのかもしれませんが、それ以外の脚本やらストーリーライン、俳優の演技には凄い辟易する部分がありましたので、この点数にします。お話の組み合わせも、3つの舞台の人たちが絡み合うようなわけでもなく、映画見始めて予想したんですけど、これって壮大な群像劇なのではないかと思って見ようと思ったんですよね。そしたら、意外とそこの絡みがなくて大きくげんなり。ここもマイナスポイントです。

作品のテーマ性みたいな部分も、上述したような泣き演技で纏められてしまったからもうがっかり。

凄い期待した分、所詮この程度なのかよという訳の分からない「怒り」がこみあげてくるような作品でした。

つまらなかったです。普通の邦画でした。
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