とり

シン・ゴジラのとりのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0
ゴジラへの愛が詰まった映画
ヒーロー不在の働くサラリーマンたちの映画

JRの満員電車に揺られ働く大人にすすめたい
「特撮」と「作戦」に目がない人にすすめたい
都内近郊に生活基盤がある人にすすめたい
DVDではなく、劇場スクリーンで観る映画です

出てくる役者さんは多種多様で300人規模
スタッフも協力企業もすごい数
各登場人物の持つ機器や筆記用具、一瞬だけ映る画面の作り込み、観る側が処理しきれない圧倒的な情報量などに邦画にありがちな「謎のポップさ」や「架空の製品感」がなく、こだわりを感じました

舞台俳優さんが多い印象でしたが、会議シーンのセリフ量が半端なく多くてスピーディで、映画というよりテンポのいい舞台を観ているようで圧巻でした

会議シーンは長く感じましたが、サブリミナル効果的に挟まれる民間人や待受画面の家族写真などに人びとの暮らし、生活基盤がここにあるのだということを感じました
観る側の想像力に任せる(観る側が本編を補完する)部分も多く、そのバランスが絶妙でした

被災圏内に在住しているとゴジラに対する無力感や絶望感が凄まじく涙が出ました
関東地域に職場や生活基盤がある人にしか感じられない恐怖もあったと思います

本編のほとんどが政治家や専門家による会議シーン
そこに悪人(ここではゴジラ対策の進行を邪魔する存在。必要性の感じられない人の死や人間ドラマも含む)がほとんど存在しないので、とても気持ちよくテンポよくまとまる会議を楽しむことができました
いつもこうだといいんですけど
臨時総理がなんとも憎い感じでした

ハリウッド映画と違って「ヒーロー」は出てきません
総理大臣が戦闘機に乗ったりもしません
みんなで一致団結して、主に日本の政治家や専門家や各種企業や公務員ら皆さんがゴジラと戦います

「無人在来線爆弾」はヤバかったです
あのくだりだけでも満点差し上げたいです
働くお父さんお母さん、大人たちの化身にも思えました

映像や言葉選び、音響など随所に昭和の「ゴジラ」への敬いが感じられます
とても愛情のこもったいい映画です

言い忘れてたけど、ゴジラめっちゃかっこよかったです
(第一形態びっくりしたけど)
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