イペー

シン・ゴジラのイペーのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.0
入れ替わり立ち替わりの豪華キャスト陣の登場と、矢継ぎ早に繰り出されるセリフの応酬。

凄まじい情報の洪水で、大脳皮質がチリチリ鳴る音が聞こえました。
脳ミソが焼けちゃうよ…。

海より来るゴジラちゃんが首都観光、ゴジラくんへと成長して一時帰宅。
矮小なる人類は戦々恐々、侃侃諤諤。
ゴジラさんの再上京の前に、どうにかしてどうにかしなきゃ、っていうね。

理性と感性のミルフィーユ。
伝統と遺産を継承しつつ、既存の枠組みを飛び越えて自由。
重厚なのに軽やか、複雑なのにシンプル。
懐かしくて新しい。

庵野秀明という方について、詳細に語れる程の知識も思い入れも無いけども、まさしく「好きにやった」結果として、創作者としての喜びが、画面から溢れ返っているのであります。

見慣れた風景が破壊されていく恐ろしい場面の連続でありながら、意図的に"死"は遠ざけられ、緊迫した状況の筈なのに全編を通してどこか、"オマツリ"のような。

祭りは祀り、そして"政り"でもある。
現代に顕現した荒ぶる神。
鎮める役目を担うのは、祭司ではなく政治家たち。

紆余曲折しつつ、彼らが最終的な意思決定に至るまでのプロセスを細々と描く。
これがまた何とも、もどかしくて、可笑しくて。

最も心奪われたのは、"無人在来線爆弾"…‼︎近年観た日本映画の中で、一番好きなシーンかもしれない。

ヤシオリ作戦に至って、ゴジラさんも割と協力的に見えました。
きっと、疲労困憊の彼らに同情を覚えたのでしょう。

鑑賞以来、本作についてアレやコレや思いを巡らせております。未だ結論は見えず。
まだまだ語りたい部分もありますが、長くなっちゃったので、この辺で。

日本人なら見るべき…とまでは申しませんが、日本人の心性に訴えるサムシングがある作品なんじゃないかな、と思ったり、思わなかったりしました。

…先日、鎌倉のぼんぼり祭りにて、庵野秀明監督直筆のぼんぼりを拝見。
「報恩謝徳」と書いておられ、なるほど、その様な気持ちで映画を撮られたのだな、と。
まあ、言葉の意味は知らないんですが。
イペー

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