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シン・ゴジラのikoanのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.0
劇場最終日に観た時は正直うーんどうなんでしょうか…って思っていたんだけどその後2回程観てうん、やっぱり面白いかなと思えるようになってきた感じです。
私にとってのゴジラは昭和の子供向け、正義の怪獣になってから。それが子供心にもなんだかずっと嫌だったんですよね。だから昭和シリーズ終了後にビデオで初めて観た一作目のゴジラは衝撃的で、これこそ本当のゴジラと思った訳なんです。
その後、84年のゴジラは首都防衛新兵器の登場でガッカリ、続く平成のVSシリーズは全く観ず。
99年かな?エメリッヒ監督のハリウッド版ゴジラは期待が大きかったんですよね。何しろあの監督のインディペンデンスデイ、これはかなり私のゴジラ感に近かったからなんです!やたらデカくて、全く歯が立たない、正体もなんだかよく分からない、それでも何とか人類が勝利する。うんかなりゴジラっぽいんだよな。で、エメリッヒ版ゴジラもゴジラが登場するまでの演出はなかなかいいんですよね。でも出てきたのはティラノと言うかイグアナドン!ミサイルでやられちゃうし…あれではいけません。で、その頃平成ガメラが登場、これは結構良かったんですよ。
そして2000年、いよいよゴジラもっ!っと思ったらこれがやっぱり全然ダメ…。
もう本物のゴジラは作られないんだなと諦めていたところ、2005年、ピーター ジャクソン版キングコング。あれは良かった。私の求めていたゴジラの復活をキングコングで先にやられちゃったという感じだったんですよね。
こうしてゴジラの復活を待ち続けてうん十年、2014年のゴジラです。かなり良かったですよね。でも敵対怪獣出てきてるし、なんかもう地球の守護神、いい者に、なりかかってますよね。ガメラの設定に近いんですよ。先が心配です…。
やっぱりゴジラはあくまでも人類の敵!悪魔でなければなりません!巨大で、残酷で無慈悲で、狂気で、絶対に歯が立たない!なす術なし!しかもそれを人類が創り出してしまったというところが悲しくも皮肉で辛いところなんです!。だから、ゴジラを倒すその手段はそれ自体第二のゴジラになってしまう!そんなジレンマから最後はその手段を見つけた人と共にゴジラは滅びる。こんなヒューマニズムに乗っ取った悲劇でなくてはいけないんです!初代ゴジラは正にこれだったんです!
なんか前置きが長くなったけどシンゴジラ、前半の政府の対応をおちょくった感じは面白かったけど、ちょっとな…。政府は我々国民の代表な訳で、その代表が国民の意見を顧みること無しに国連の核攻撃を容認してしまう。民主主義はこれでいいのか?現実も自衛隊の武力行使の決定権は政府内閣にある訳だけど、我々国民はそこまでの権限を政府に委譲してる感覚は無いと思うんですよね。この前の国会で集団的自衛権行使容認の決議はそういう事なんですよね。酷いお話です。
で、そこに待ったを掛け核攻撃を防ぎ、ゴジラの秘密を解き明かして行くチームが寄せ集めのオタク集団!庵野さん、これちょっとオタクの方々に媚売り過ぎなんでは?オタク票集め過ぎでしょう。
で、このチームが見つけ出すゴジラの秘密、マキ博士の残した秘密。ゴジラの秘密は人類とって福音にもなりうる…、人類はゴジラと共存…、マキ博士を登場させる事なくゴジラの秘密を消さない結末。うーん、核兵器とどう付き合っていくか、現代人の未解決な課題の上にさらなる課題を積み上げるエンディング。
マイナス196℃のゴジラを粉々にしないまま終わるエンディング、尻尾の先から小さなゴジラ達が拡散しようとしているような微妙なエンディング。
1話完結でありながら続編への道を残すギリギリの線だったのかな?と思えるエンディングでしたね。
シンゴジラ、私のゴジラ感にかなり近い物ではありましたけど、どこかまだ違和感あるゴジラ映画だったんですよね。このまま子供向けにシリーズ化されたら多分観ないだろうな、私はその次の新シリーズを静かに待つ事にいたします…。
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