ほーりー

シン・ゴジラのほーりーのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.6
お後の支度がよろしいところで、昨日( 11/12 )放送された「シン・ゴジラ」のレビュー。
 
昨年の公開時、本作を観た会社の先輩が絶賛していたのを思い出す。
自分はまだ観ていなかったので「どの辺りが面白いですか?」と聞いたところ、「劇中、うちのお客さんの入っているビルが壊されるシーンかな~。思わずよっしゃー!と思ったね笑」と先輩。
 
「なるほど笑」。正式にいうと、ゴジラに壊されるというよりは、「ヤシオリ作戦」時に自衛隊の攻撃で破壊されるビルなのだが、こういうところに日頃の鬱憤ぶつけてスカッとする思いを抱くサラリーマンは我々だけではないように思う(不謹慎な)。
 
さて映画自体は、“ゴジラの暖簾を出したエヴァンゲリオン本舗”であり、ゴジラのファンもエヴァのファンも心くすぐるような箇所があるので、まさにいいとこどりの映画で、そりゃあれだけヒットするわなと思う。
 
その内容は、「もしもゴジラが本当に日本に上陸したら?」という IF 物であるように思う。

確かに法律上、いちいち処理するのに大変な事案だと思う、かつて前例のない事態なんだから。

そこを法律や対ゴジラ兵器開発に関する専門用語を猛烈に羅列した専門用語ばかしの台詞を、早口言葉のごとく捲し立てるところに面白さがある。

久しぶりにオールスターキャストの日本映画であるが、中でもやはり長谷川博己扮する内閣官房副長官が光る。これで日本も安心じゃ。

ちなみにゴジラ出現のキーマンとなる科学者が何故か故・岡本喜八監督(顔写真のみ)。庵野監督が岡本信者だかららしいが、正直いえば、ゴジラという看板を掲げているんだから、ゴジラ映画関係者じゃないと違和感がある。

とはいうものの、本多監督はじめ、川北紘一さんなど、皆さん優しい顔の方ばかりだから、確かに役に合いそうな人相じゃない。せいぜい中野昭慶さんぐらいか。

ま、ゴジラ版「日本のいちばん長い日」とすれば、喜八監督であるのも納得できる。

あと細かいことで物凄く引っ掛かった台詞がある。

石原さとみ扮するカヨコが「祖母を不幸にした原爆を、この国に3度も落とす行為は、私の祖国にさせたくないから」というが、ここは4度と言って欲しかった(または横にいた長谷川博己に訂正させて欲しかった)。

確かに日本本土に落とされたのは2回だし、原爆に絞って言っても2回なのだが、正確に言えば、日本を不幸にした核兵器被害は3回目である。

1954年3月1日を勘定に入れていないのである。他の映画なら仕方ないにしても、オリジナル映画は、第五福竜丸事件の批判が根底にある作品なので、ちと勿体ないように思う。
ほーりー

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