tjZero

シン・ゴジラのtjZeroのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.0
”怪獣映画”っぽくは無かった。

むしろ、『踊る大捜査線』とか『ハッピーフライト』みたいな、”お仕事映画”の系譜。

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で~」ってセリフがこの映画の中で発せられたとしても違和感がない。

作品内の政府が大層な会議をくり返しても、現実のゴジラ襲来に対して機能不全を起こしてしまう皮肉。

老獪な首脳部がゴジラによって”退場”させられた後、官房副長官の長谷川博己が率いる若きプロジェクト・チームが仕切るようになってからは、みるみる小さな政府が機能を回復していく。

「この国には有能な官民の人材が残っている」という長谷川演じる矢口副長官のセリフ、小泉進次郎かと思いましたよ。
そういう意味で、かなり政治的メッセージの強い映画だと感じました。その主張の是非はともかくとして。

だから、大人の観客向きだな~、って思った。
怪獣が暴れるのをワクワクと楽しみにしてたはずの子どもたちにとってはどうなのかな、って危惧も。

最大の不満は、ゴジラがあまりにも無表情なこと。
生物感に乏しく、災害そのものの様な無機質のたたずまい。
1作目のゴジラの背中に漂っていた、哀愁や怨念がなつかしくなった。

…という訳で、作品自体のクオリティは高いけど、”怪獣映画”として楽しいのはギャレス・エドワーズ監督によるハリウッド版の方かな~、という感想です。
tjZero

tjZero