ハテナ

シン・ゴジラのハテナのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0
正直言って、前半は個人的にかなり胸糞悪かった。というのも、有事にとりあえずツナギを着ておくかという感じの描写、あれに3.11の民主党の影を見たから。さっさと法案整備するところはモノホンよりましだとはおもうが、肝心なところで方針転換したり、なあなあで物事が進んだりしていたことも、当時の無能政権ぶりを表しているようで、正直不快だった。とはいえガヴァドンAタイプみたいな姿で現れたゴジラはまぎれもなく異端児だし、僕はアレが死んで、2体目としてシンゴジが現れるとばかり思っていたので、進化して直立歩行を始めたときは、「やりやがったな庵野wwwwwww」と思っていた。そいつが完全体になって、口が3つに(上あご+下あごが2方向)割れて熱戦を吐き始めたときには、もう何でもありだなと思えるようになっていた。実際背びれと尻尾からも熱戦出すし(笑)
前編を通じて、ゴジラ映画とはこんなに静かだっただろうか、と思う程度にはBGMが少なかったような気がするが、おそらく静寂→孤独さ、悲壮感の表現であり、だからこそ未来への意志を意識したセリフが響くのだと思う。
全編を通じて考えると、OPとEDは完全に初代のOPのオマージュであり、初代はOPにクレジットが流れるが、今たいていの映画はEDにクレジットが流れることを利用し、あたかも「ゴジラのタイトルコールから各人が思いおもいのゴジラを夢想し、次の瞬間にクレジットで現実に引き戻される」という、ゴジラファン版の「一炊の夢」のようなつくりになっている。ギャレゴジと共に'84の問いかけを真っ向から否定し(今回は特に日本の、東宝でそれをやれたのがデカイ)、EDロールにはGMKパロでメカゴジラのテーマ曲が流れる。最初の尻尾のCGは荒かったけど、現物とCGとのハイブリッド特撮もまだまだやれる。特撮博物館の館長、副館長の底力を体現した傑作だと思います。

観た日:2016/08/01
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