三陸わかめ

シン・ゴジラの三陸わかめのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0
公開当時、劇場で5回見に行って、周りに引かれました。

往年のゴジラファンにとっては最高の映画でした。

新作が登場するたびに、ゴジラvs〜と何か他の怪獣と抱き合わせでなくては注目を浴びなくなったゴジラ映画。映画の中でゴジラが登場しても、ワクワク感はなく、「ああ、やっと出たか」くらいで、いつのまにかゴジラ自身に恐怖を感じなくなりました。

本作は形態変化という新しい特徴を導入し、ゴジラに対する見方を完全に覆してきました。はじめて第2形態を見た驚きと言ったら…。

ゴジラ単体をこれだけ魅力的に描くとは。そして恐怖の対象として描いていただけたことに深く感謝。

ゴジラが放射熱線を吐くシーンでは、思わず涙が出てしまいました。感動しました。今までゴジラはまるであくびでもするかのように頻繁に熱線を吐いて、ゴジラが熱線を吐くのは当たり前、という考えがありました。一回の放射熱線が放たれる様子があれだけ丁寧に、そして脅威として描かれていたのに非常に感動しました。ゴジラ自身もどこか苦しそうに身を削りながら大地を焼き尽くす様子に、宗教的な神々しさを感じました。

本作のゴジラは目が人の目をしています。そして手が上を向いており、観音像をイメージさせます。つまり、ゴジラは放射能で苦しんだ「人間の怨念」であり、放射能に対して怒りと憎しみを持つ「神」です。だからこそ、ゴジラが放射熱線を吐き、人類に復讐するシーンはとても悲しいのです。

細かいところですが、SEにいちいち感動しました。建物が倒壊する音や、爆発音、ゴジラの足音、そして熱線を吐く音(白い熱線の後の炎のような熱線の音)、すべて過去作の効果音そのままだと思います。

また、ゴジラの鳴き声。第2形態は初代ゴジラや昭和作品の鳴き声、そして第3形態では平成ゴジラの鳴き声です。ゴジラが変化していくほどにゴジラの歴史を感じさせました。

そしてなんといっても伊福部昭氏の音楽。素晴らしすぎました。昭和の音楽が今の映画にそのまま活きていることもすごいことですが、映画に溶け込ませた製作陣も素晴らしいと思いました。タイミングや選曲も完璧でした。(数あるゴジラのテーマの中から重々しい"キングコング対ゴジラ""メカゴジラの逆襲"の音源を使ったのは素晴らしい!!)

この映画を作って頂いた方々に心から感謝を。