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シン・ゴジラのABBAッキオのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.8
 2016年庵野秀明監督。初代ゴジラファンとしてアンビバレントな印象です。
 映画としては、初代ゴジラに次ぐメッセージ性が強く、よい作品と思います。庵野監督のエヴァ風演出も新鮮でした。緊張感のある演出は成功していると思います。
 そのうえで、初代ゴジラとの決定的な差は世界性でしょう。初代ゴジラは当時はもちろん、今でも、世界的に共感できる内容を扱っています。核、自然破壊、科学技術の正負両面。対してシン・ゴジラは、311を体験した日本人をターゲットにしていることは明白。悪く言うとゴジラは狂言回しに過ぎない印象すらあります。海外では、水爆で殺すのが一番合理的じゃないの、といった反応があるようですが、このストーリーならそう感じてもやむを得ないでしょう。
 実際後半はご都合主義的な展開が目立つと思います。石原さとみが象徴する対米従属的な描写は非常にステレオタイプですし、ゴジラを倒すヤシマ作戦は新幹線や電車の利用などオタク心をくすぐるもののあまりにうまく行きすぎでしょう。だらしない首脳がいなくなれば、はぐれものの官僚・技術者が実力発揮というのはいくら何でも甘すぎると思います。
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