ノラネコの呑んで観るシネマ

杉原千畝のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

杉原千畝(2015年製作の映画)
4.5
大変な力作。
ただ、感動モノかなと予想していた内容とは全く違った。
いきなり「007」ばりの展開にビックリしたが、戦争の時代の外交官の仕事なんて半分スパイみたいなもの。
この裏仕事で、ソ連に「好ましからざる人物」としてビザ発給を拒否された事が、彼の外交官人生を変える。
命のビザは確かに重要なエピソードだが、これは言わば物語の横軸。
話を進める縦軸の動力は、真の愛国者であるセンポ氏が、日本を間違った方向に進ませないための諜報活動の方。
この時代の日本のインテリジェンスを描いた作品は希少なので、とても興味深い。
主人公以外の「良き人たち」にもスポットを当てているのも好感が持てる。
野心家の若い外交官センポ氏は、挫折や様々な人との出会いによって、少しづつ変わってゆく。
そして戦争という異常な事態に遭遇した時、正しい決断を下せるまでに人間として成長しているんだな。
この人は90年代以降に有名になったから、観なくてもなんとなく話は知ってる様な感覚があるけど、多分この映画の杉原千畝像は人々のイメージとは結構違うと思う。
見応えのある良い映画です。