昭和9年。満州国外交部の一員 杉原千畝は仲間と共に諜報活動を行っていた。しかし手を組んでいた関東軍が無抵抗なソ連兵を殺害してしまう。関東軍に嫌気がさした杉原は外交部に辞表を提出する。その後、昭和14年。杉原はリトアニアのカウナス領事館への赴任が決まり、ソ連の動きを調査するように命じられる。ソ連はドイツと不可侵条約を結び、独ソはヨーロッパ各国への侵攻を進める。昭和15年。ドイツからの迫害を受けてきたユダヤ人たちはドイツと同盟を結ぶソ連から逃れるために、東亜経由で国外脱出を目指し、日本領事館にビザの発行を求める。しかし外務省からは協力者以外へのビザの発行に関しては了承を得られていなかった。
約6000人のユダヤ人を救った、東洋のシンドラー と呼ばれる杉原千畝の伝記映画。
杉原千畝に関しては、その名前とユダヤ人をたくさん救った ということしか知らなくて、どう助けたのかも知らなかったので、非常に勉強になりました。なるほど、ビザを発行して、ユダヤ人たちを逃がした ってことだったんですね。
日本もドイツと同盟を結び、ドイツもノリノリな時期。そんな状態の中、独断でビザを大量に発行しまくる という国に反する行動をとったのは非常に勇気がありますね。この時代の日本はすぐに非国民だなんだのと非難するし、ナチス・ドイツにも反しているので、ゲシュタポから狙われるはめにもなったり、かなり大変な目に遭ってます。自分を顧みず、人を助けるほうを選んだ彼の勇気は讃えられるべくして讃えられているのだと実感しました。
ユダヤ人たちを救うに至るまでの過程やその後も描かれており、彼の苦悩の部分もちゃんと見えてきます。それでも弱音も吐かず、信念を曲げない姿勢はめちゃくちゃかっこよかったです。そんな彼をひたすら支え続けた妻の存在も大きいですね。
命のビザとしては杉原千畝の名前が大きいですが、日本行の船に難民たちを乗せる許可を出した根井三郎の行動も杉原に負けずとも劣らない勇気ある行動ですね。調べてみたところ、今作公開後に根井自身もビザを発行していたことが明らかになったみたいです。
この実話がそもそもドラマチックで素晴らしくあるのですが、日テレ映画なだけあって、わかりやすく感傷的で、ちょっと表面的だなぁと感じました。それこそ「シンドラーのリスト」だったり、海外の第二次世界大戦でのユダヤ人迫害関連の作品と比べると、骨太さに欠けるのではないかと思いました。なんか学校の授業とかで見せられそうなタイプの作品だと感じました。
映画としては、どこか物足りなさを感じる部分も無きにしも非ずでしたが、1人の英雄の伝記として、非常に勉強になりますし、観て良かったとは間違いなく思える作品ではありました。