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グローリー/明日への行進のmasayaanのレビュー・感想・評価

グローリー/明日への行進(2014年製作の映画)
4.0
悪くは・・・ないように思う。歴史上の、もっと言えば神話の中の人物を映画にするわけで、その威光に気を使い過ぎではないか、と思わなくもないのだけど、ギリギリ許せるレベルでのヒロイズムと高揚の演出で、最後まで集中して見れる申し分ないクオリティです。「キング牧師もの」ってもっとたくさん作られているのかと思いきや、そうでもないらしく、だとすれば権利関係の調整とか各種団体との調性とかめっちゃめんどかったろうなあ・・・とか思いつつ。

とは言え、スピーチの沸点で幕切れとなる映画の終わり方など、普通に高揚して気持ちよくなれちゃう仕上げなのはどうなのかなと。や、もちろん後味は悪くないし、これが今日にまで続く問題なのだということは観る者が受け止めるべきなのは間違いないのだが、一人の英雄を生み出すための運動ではなかったのもまた事実だろうし、「動員」に関わる犠牲と責任という点にフォーカスするのであれば、「カリスマとその他多くのニグロ」という構図をもっと崩して欲しかったかなと。運動に参加する人たちにも、牧師と同じくらいに引き裂かれる思いがあった筈なので。運動参加者たちの「顔」がもっと見たかった。

大統領はもう少し待ってくれと言う。しかし俺たちはもう100年待ってるんだと。そこからの逆転劇がもたらすカタルシスは否定しがたいものがあります。しかし、そうした歴史的な高揚があるからこそ、映画的な高揚は最小限にとどめるべきだったとも思う。一番気になったのはスローモーションの多用で、死や暴力の瞬間をあんなに引き伸ばしてはいけない。「死の瞬間の劇的な引き伸ばし」ではなく、(繰り返しになってしまうが)「生の瞬間の容赦ない断絶」として語られるべき個人史がもっとあっても良かったのではないか。そこが少し残念でした。