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ディオールと私のERIのレビュー・感想・評価

ディオールと私(2014年製作の映画)
3.8
アトリエにブラボー!

ラフ・シモンズのDior アーティスティック・デザイナーに就任してから初のコレクションまでを密着したドキュメンタリー。初のオートクチュールに臨むデザイナーと老舗のアトリエで働く職人たちの一流の仕事。

アトリエで働く人たちのタイトな納期やVIPからの注文が殺到する中、コレクションの準備をする姿に胸打たれます。無理難題を突きつけられながらもどのように課題を解決するか、技術を使って具現化していくかの前向きで愚直な姿勢に感動する。

一番泣けたのは、最後の豪邸を貸し切って準備されたお花が敷き詰められたコレクション会場にアトリエで働く人たちが入るときに、「私たちは場違いね」みたいなことを言っていて、多くのセレブやプレスが詰めかける中、このコレクションを作り出した人たちはなんだか謙虚で慎ましくてグッときてしまった。

そんなショーは言葉も出ないほど美しく、Diorらしい曲線美はどれもこれも美しくてうっとりします。やっぱり可愛いんだよなぁ。あんな手塩につくられたことを知ったら余計、憧れずにはいられないのです。

とても良質なドキュメンタリーです。こんな風にして歴史は築かれ、伝統は進化していくのかと学ぶことがいっぱい。ラフ・シモンズの苦悩や重圧をはねのけた成功も見応えはあるのだけど、そんな天才を支える後ろにこれだけ多くの人たちが関わって、どの持ち場でも最高の仕事をやりぬいた先に、これだけの素晴らしいものが生まれるんだと実感せざるを得ない。職人さん、かっこいい。
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