ちろる

ディオールと私のちろるのレビュー・感想・評価

ディオールと私(2014年製作の映画)
3.9
お針子たちはディオールの亡霊がアトリエにいると信じていて、彼らはディオールに見張られていると思っている。
臨場感のある日中の雰囲気とは対照的に亡きディオール氏が語っているようか幻想的な描写がとてもセンスある。

描かれるのはディオールのメゾンがラフ・シモンズを迎えてからオートクチュールコレクションを発表するまでの8週間。

フェミニンでエレガントな印象だったディオールのイメージからは少し違うミニマムでモードな印象を受けるラフの感性とどう絡み合うのか??
一体どんなものを作り出すのだろうか?とアトリエの皆がワクワクしている様子から見ていて本当にエネルギッシュ。

伝統的なディオールイメージをラディカルにしたいというラフの新たなる挑戦、ミニマニズムのイメージを払拭したいと思うラフのプライドが緊張感を煽り、戦いが始まる。

フィッティングきドレスが間に合わない。エレベーターが動かない、飛行機が1時間遅れてま職長が不在。
ラフの苛立ちがMAXになり、アトリエはギスギスとした雰囲気なシーンはまさしく私が観たかったファッションドキュメンタリーだった。

既製品しか関わった事ないラフとオートクチュールの大変さ舐めんなよ的な作り手の思惑との不一致も彼らに必要な通過すべき時間だったのだろう。

後半に向けて、シビアなLVMHの会長アルノー氏の理解を得る事にも神経をかける事情も生々しい。
そりゃね、王様のご機嫌も今後の資金ぐりにおいて大事ですよね・・・

色々と追い詰められて立ち止まったラフが、生まれ育った秘密の花園のような家に戻るシーンはよかった。
きっと、彼は導かれたのだろう。
それはコレクションの成功を祈るディオール氏の導きなのか?
秘密の花園のショーはきっと芳しい香りだったんだろうな、はぁー羨ましい。
感動で涙をためたラフよりも、泣きじゃくっていたピーターにもらい泣きしちゃいました。
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