けーはち

母と暮せばのけーはちのレビュー・感想・評価

母と暮せば(2015年製作の映画)
3.8
長崎の原爆で死んだ息子がひょっこり現れる!山田洋次の家族ファンタジー。

★券をもらったんで、何の気なしに行ったんだけども、これが予想以上に良かった。笑い泣きのハートフルなファンタジー・ドラマ。「息子の幽霊を見てベラベラ喋りかけるヤバいおばあちゃん」という厄介な役を、優美にさりげなくこなす、吉永小百合は本当素晴らしい。家族を全て戦争と原爆で失って、ただひとりで生きる助産婦の彼女は「和」そのものを体現したように穏やかで優しい、70歳の老婦人。それなのに死んだ息子の前でだけはエモーションを爆発させるオカン(!)ぶり最高。

★ドカンと衝撃的なのは最初の原爆炸裂シーンくらいだが、幽霊の出てこない孤独な日常と、ちょくちょく出てくる幽霊と楽しく話しながら過去の回想に移るシーケンスの繰り返しで、ジワジワと、涙腺にボディブローが効いてくるんだな。スパイ容疑で特高に取っ捕まった息子を捨て身で出して、帰りにちゃんぽんを鼻水垂らして泣きながら食うくだりでは、クスクス笑いつつ滂沱の涙。二宮君の長崎弁でお喋りの演技もなかなか堂に入ったもの。

★ただ、息子の婚約者だった黒木華が作中では「美人だ、美人だ」としきりに言われている風潮だけは、どうも承服しかねて首をひねっていた。ともあれ、いい映画です。