ゴン吉

母と暮せばのゴン吉のレビュー・感想・評価

母と暮せば(2015年製作の映画)
4.0
原爆で死んだ息子の霊と語らいの時を過ごす母親を描いたヒューマンドラマ。 
山田洋次が監督を務め、吉永小百合が主演、二宮和也、黒木華らが共演。

舞台は太平洋戦争末期の長崎。
助産婦の伸子(吉永小百合)は夫を白血病で失い、長男は戦死し、長崎医大の病理学教室で学ぶ次男(二宮和也)と二人暮らし。
次男には将来結婚を約束した娘(黒木華)がいた。
1948年8月9日、長崎に原爆が投下され、次男が行方不明となる。
3年後に原爆で死んだはずの次男が信子の前に霊となって現れる。
伸子は話好きの次男と昔話に弾むが…

二人の息子を戦争で失い、一人残された母親の戦後を描いた作品。
霊となって現れた次男と、生前の思い出をしみじみと語り合います。
出兵した者の多くが帰らぬ人となり、戦地から戻ってきた人々も片手や片足を失った者が少なくない。
物資は不足し、進駐軍から出回った品物を闇市で手に入れるなど、当時の地方での様子が描かれている。
次男の許嫁や、上海から引き揚げてきたものの家族を失い独り身になった叔父が、再三訪ねては来るが、彼らの気持ちはありがたい反面、心苦しく感じる。
そんな中、許嫁が新しい婚約者を連れて挨拶に訪れ、叔父にも闇市で不当に手に入れた品物を断り、彼女なりの戦後に区切りをつける。
戦争で心や体に傷を負った人々の本当の終戦とは何かを投げかけた作品です。
「いこうか....」

2023.1 BS12で鑑賞
ゴン吉

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